那須ジャーナル

2021.10.25

お米の学校第四回:秋晴れの中、いよいよお米を収穫!

台風一過の晴天に恵まれた「お米の学校 第四回」は、ハイライトともいうべきお米の収穫だ。4月に種をまき、5月に田植えをして大事に世話をし、見守ってきた田んぼ。黄金色の稲穂がたなびく姿に、ここまでよく育ってくれたとスタッフの感慨もひとしおだ。

那須岳と田んぼ

■稲はなぜ黄金色に輝くのか?探求すれば学びも深まる
最初は、これから行う稲刈りについてのミニレクチャー。「稲はなぜ黄金色になるのか?」改めて問われると、大人も答えに窮してしまう。稲の葉には、光合成で作られた、お米に栄養を渡す物質があり、役割を終えると抜けて黄色くなるそう。加えて稲にはざらざらとしたガラス質の物質が付着しており、それが輝くことで黄金色に見えるという。見過ごしていることにも、しっかりと理由があり、探求することで学びが深まることを実感する。

田んぼのクイズ設問

「稲刈りのタイミングは何で図るか?」という質問には、①日数 ②積算温度 ③色 という選択肢に参加者の解答がばらけた。正解は、なんと「全部!」。穂が出てから約45日、最高気温を足して1000度となる頃が稲刈りの目安。あとは稲の色などを総合的にみて、農家はタイミングを判断するのだという。「お米の学校がある1週間は、稲刈りのグッドタイミング!」という林さんの言葉に、子どもたちの顔が、ぱぁと明るくなった。

■意外な才能発見!?スマートな手さばきに惚れ惚れ
田んぼにはいり、まずは「鎌」の取り扱いを学ぶ。親指を下にして稲を束ねて持ち、その10センチほど下を刈るのだが「鎌を振り下ろす必要はありません。こうやって鎌を当てて、すっと手前に引けばOKです」とのこと。

稲刈り01
稲刈り02

「なるほど!」とやってみるものの、見本のようにはゆかず、ギコギコとのこぎりのようになってしまう。刈った稲は、藁で束ねるのだが、これもまたコツがいる。戸惑っている私の横では、小学校3年生の子どもたちが、どんどん稲を刈り、束ね方もバッチリ! 初めてとは思えないスマートな手さばきに、惚れ惚れするほど。「農家さんからスカウトがきそう。上手だね。」と声をかけると、はにかみながらも笑顔を返してくれた。

■「稲刈り」に「はぜかけ」。子どもたちが中心にやり遂げ達成感へ
稲刈りのあとは、昔よく見た、田んぼに稲を干す「はぜかけ」にも挑戦。束ねた稲を真ん中で割って掛けると思いきや、束がゆらゆらと動くのでNGだという。「束を7:3で分けて掛けていきます。多い方を交互にしてかけることで全体としては安定します。」と聴き、経験から培われた農家の知恵に感心する。

稲刈り03
稲刈り04

両手いっぱいに束を抱えた子供たちは、自分の背丈ほどの高さへの「はぜかけ」にチャレンジ。気が付けば、ほぼ子どもたちだけでやり遂げ、終わった後の満足げな様子が印象的だ。

■がんばったご褒美は、稲穂のリース
残念ながら、この米を食べられるのは2週間ほどあと。そのかわり、がんばった記念にと、稲穂のリースを作って持ち帰ることに。「おばあちゃんにあげる!」といって近くに咲くアザミも一緒にリースにいれて楽しむ親子や、慣れない手つきで一生懸命に作るお父さんの姿も。那須岳が見守る秋の田んぼは、家族のあたたかな姿であふれ、見ている私も幸せな気持ちになる。

稲穂のリース作り01
稲穂のリース作り02
稲穂のリース作り03

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お米の学校も残すところあと一回。フィナーレとなる第五回では、今回刈り取り、はぜかけをした稲を、脱穀、精米し羽釜で炊いて食べるという。お米の学校に関わったみんなの思いの集大成であり、文字通り「美味しくいただく回」となる。

10月21日(木)には監修者の井上夫妻が参加するほか、23日(土)、24日(日)の週末も追加開催が決定。変わらぬ自然の中で作物と向き合う体験は、コロナで疲れた心をも癒してくれる。親子で秋の一日、でかけてみてはいかがだろうか。

文:村田 和子