那須ジャーナル

2021.06.07

お米の学校第二回:田植えで変わる田んぼの景色

ゴールデンウィークとなり、木々の緑は一層濃く、爽やかな風が気持ちいい。お米の学校第二回は「田植え」。始まる前から、子どもたちは田んぼを覗き込んでは、おたまじゃくしやアメンボに目を輝かせている。

■本日の学びは「田んぼの役割」

青空教室では、田んぼの役割のひとつ『治水』を学ぶ。全国の田んぼで使用する水の量をあわせると、琵琶湖二個分にもなるといい「この田んぼがなくなると、蓄えた水は行き場を失います。さて、どうなるでしょう?」と質問が投げかけられる。日本の原風景を担い、米を育て、水害を防ぐ。さまざまな役割や日常生活とのつながりを知ることで、ぐっと田んぼや稲作が身近に感じられる。

続いて今回のミッション、目の前に広がる田んぼに植える苗の数が発表された。その数なんと38万本! しかも手植えというから大変だ。がんばろうという声が参加家族から漏れ聞こえてくるのが頼もしい。

■田んぼへのはじめの一歩はドキドキ

田んぼの風景

田植えの前に、まずは田んぼで動く練習から。長靴に履き替え、こわごわと片足を踏み入れると、思ったより深さがありドキドキする。中に入ると重たい泥に動きが阻まれ思うように動けず、あちらこちらで助けを求める声が飛び交う。ナビゲーターの林さんが「つま先立ちにしてから抜くと動きやすいですよ」と教えてくれ、試してみると……なるほど!すっと足が抜け、コツを掴めば動きが格段に楽になる。
あたりを見渡すと、両手に子どもの手を引いたお母さんが奮闘する姿や、すでに泥まみれのお子さんも。田んぼ、なかなか手強いかも。

■いよいよ本番。田植えにチャレンジ

田んぼの風景

横一列に並んで、片手に苗の束を持ったら、田植えのスタンバイOK。利き手で3本ぐらいの苗をとって植えていくのだが、浅すぎると苗が浮遊してしまい、深すぎると成長できないとのこと。微妙な塩梅が大切だという。全員が担当範囲を植え終わったら、一歩下がり次のラインを植えるというのを繰り返し、20列ほどでタイムアップ。 「まだやりたい」そんな声も聞こえる中、田んぼから出ようとして体のバランスを崩し、泥まみれになる人が続出。楽しいのだが、中腰での作業はじんわりと体に疲れがたまる。田植えは最後まで気が抜けない。

■泥んこOK!自然と触れ合う姿が愛おしい

田んぼの風景

長靴を脱ぎ泥を流して身支度を整える。新しいチャレンジは達成感があり、泥だらけでも笑顔だ。コロナで、こういった自然と触れ合う時間が愛おしく貴重に感じるのは、皆同じようだ。いつもなら「汚さないで」というお母さんも、「ずいぶん汚したね〜仕方ないなあ」という顔はにこやかで、声も優しい。

田んぼの風景

お米の学校の〆は、恒例の「お小時飯(おこじはん:農家の休憩)」。昨年、この田んぼで収穫した米から作ったあまさけと、お米の学校を監修する井上夫妻が開発したポン菓子がふるまわれる。リゾナーレ那須の看板犬「バン」も登場し、穏やかに流れる時間が心地いい。
苗が植わる一角は、遠目にも碁盤の目がくっきりとわかる。これから一週間かけて38万本を目指して田植えが行われるが、終わるころには眺めも一変することだろう。

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次のお米の学校は8月。田んぼの生き物を観察し、お米を炊くための「火おこし」も練習するという。「これからは雑草との戦いが始まります」というスタッフにエールを送り、リゾナーレ那須を後にした。

文:村田 和子