那須ジャーナル

2019.10.04

第5回(前編) 成澤さんの畑で学ぶ、未来にむけた大切なこと

(取材日:8/7)

青空が広がる夏の日、長靴に首にはタオルを巻いて向かったのは「成澤さんの畑」。リゾナーレ那須は循環型の有機の農法実現を目指して取り組んでいるが、その師匠が成澤菜園の代表 成澤増雄さんだ。化学肥料や農薬、遺伝子組換え技術を使わない有機農法の中でも、自然と共存しその力をフルに活用する、こだわりの農業を営んでいる。

「『アグリツーリズモリゾート』の構想を練っている際に、成澤さんと出会いました。農業への思いや世界観は、まさに私たちが目指しているアグリツーリズモとの共通点が多くて共感。畑のお手伝いをしながら農業のイロハを教えてもらっています(総支配人 中瀬さん)」。リゾナーレ那須のスタッフは、配属されるとまずは「成澤さんの畑」へ行き、アグリツーリズモを体感し、ホテルのコンセプトを考えるという。

お手伝いの内容は、農作業のスケジュールで毎回違う。この日は長雨で夏野菜の収穫が遅れているため、ジャガイモの収穫となった。畑といえば、畝にそって整然と作物が植わっているイメージがあるが、成澤さんのジャガイモ畑は、雑草が生い茂り、一見それとはわからない。「目印は30センチ間隔で植わる枯れた茎」で、これこそがジャガイモなのだという。

ジャガイモを見つけたら、根元の土を手で掘り起こして収穫する。「イモホリなんて何十年ぶりだろう」と初めは楽しくてたまらなかったが、中腰の姿勢はきつく、固い土を掘り進めるのはなかなかの重労働だった。有機農業では農薬を散布しないため雑草が根をはり、土が固くなるのだという。

収穫を初めると、成熟前のミニトマトのような緑色の実が転がっていることに気がつく。「ジャガイモはナスやトマトの仲間。原種に近いものは実がなる」のだといい、収穫しているマチルダという品種も、原種に近いのだという。半世紀生きてきて料理もするが、実がなるジャガイモがあるとは……初めて知った。ちなみに「実は食べてみたけれど、美味しくはないね」と成澤さん。

文:村田 和子