那須ジャーナル

2019.09.27

第4回 思いがけない訪問者。自然との共生はできるか?

(取材日:7/26)

「リゾナーレ那須」では、那須山の雄大な姿を借景に日本の原風景が広がり、大人も童心に返って楽しめる。敷地内には、沢山の種類の木々や植物が生い茂るが「あまりにも広大で、全ては把握できていなくて。花や実がなったタイミングに少しづつ調査をしています」とディレクターの松田さん。

散策路をいけばキノコや季節の花に出逢い、畑を歩けばカエルがぴょんぴょんと四方へ飛び出す。赤とんぼ、シオカラトンボなど、沢山の種類のトンボが行き交う様子に、子どもの頃に夢中で追った記憶がよみがえり、懐かしく優しい気持ちになる。

森だけに、野生動物もひょっこりと顔を出す。最近はリスが目撃されたそうだが、なんといっても、今、みんなの頭を悩ませている訪問者は……野生の猿だ。出産後で、赤ちゃん連れでやってくる姿は見ているだけなら可愛らしい。でもきけば中々のグルメで、いちじくやブルーベリーなど、旬の果物を目当てに訪れては食べてしまうという。

「イノシシや鹿などは、来てはいけない場所だと伝えることで、共生が容易なのですが。猿は知能が高く一筋縄でいかないんです。いろいろ試しているのですが、なんだか知恵比べみたいな感じになっています(広報:東谷さん)。」

手塩にかけて育てた畑の作物もそろそろ実をつける頃。警戒していた矢先、初めてできた「UFOズッキーニ」が猿の被害に遭ってしまった。猿の事情もわからないではないが、畑に被害が出るのは問題だ……そんな話をしながら畑を見学していると……ズッキーニの葉に何かいる!?「ぎゃー蛇」と驚くと、「おもちゃですよ」と東谷さん。なんだと安堵して、ふっと足元を見ると、そこにも蛇が……。おもちゃとわかっていてもドキっとする。

猿は蛇が苦手とのことで、畑を守る対策として農家さんからアドバイスをもらい、開業までの期間、試しているという。確かに、食事をしようと思ったところに蛇がいたら……猿もゾッとすることだろう。始めたばかりで効果のほどは未知数だが、猿との和解?がすすみ、うまく共生ができることを祈るばかり。

自然との共存、維持管理は大変だ。だが訪れる者にとっては、都会では味わえない数々の体験、出会いに五感が刺激されワクワクする。春には桜並木、秋には紅葉が美しく、冬には神秘的な雪景色も広がるという。 四季折々の自然からの贈り物が、今から楽しみだ。

文:村田 和子