(取材日:8/7)
掘り起こした土では、バッタ、テントウムシ、名は知らない多くの虫たちが、驚いた様子で右往左往している。子どもが見たら、きっと興味津々、大騒ぎになるに違いない。こういった光景はどの畑でも見られるのではなく、農薬や殺虫剤を使わない有機農業の畑ならではだという。
「有機農業は、畑にいるものを増やし、自然の営みでバランスをとる『活かす農業』。たくさんの生き物がいていいし、いる方が健全な良い畑なんです」と成澤さんは語る。直接的な被害があるものは、手で除去することもあるが、基本は自然の営みに身をまかす。そのため、ネズミがかじり商品にならないイモもあったが、自然の中では当たり前といった感じで成澤さんは寛容だ。ただこういったロスがあるため、有機農業の野菜は一般的に価格が高くなる。
「有機野菜を購入してくださる方は、商品価値に加え、環境保全をしていることに対してお金を出してくれると僕は思っています(成澤さん)」。
炎天下の作業とあって、成澤さんの奥様が手作りしたブルーベリージュースを頂きながら、しばし休憩することに。「燃料やケミカルに頼らない有機農業は、人間の手が多くかかる。でも人間が動くということは、余計なエネルギーを使わない、地球に優しいとうことでもあるんです。」さりげなく語られる成澤さんの言葉は、日常で忘れかけた大切なことを思い出させてくれる。
SDGsが課題となる現代、未来をいきる子ども達に伝えたい、受け継ぐべきことが、成澤さんの畑には満載だった。リゾナーレ那須での滞在を通じて、多くの人が何かを感じ、考える機会になればいいなあと、澄んだ青空の下で考えた。
文:村田 和子