那須ジャーナル

2019.10.25

第9回 2つのレストランで、アグリツーリズモリゾートを体感

(取材日:9/23)

開業まで一ヵ月半となり、各部門ではトレーニングが佳境を迎えている。新鮮な野菜がディスプレイされ、アグリツーリズモらしい出迎えにワクワクするのは、朝・夕にビュッフェを提供するレストラン「SHAKI SHAKI」。

奥では「お子さまが主役なので、最初にお祝いのデザートを」「ご夫婦の記念日は、野菜をブーケのように盛り付けて」といった具合に、記念日のおもてなしをテーマに、各グループで考えたアイデアが披露されていた。

終わると「何を提供したいかを第一に」「オペレーションは後で検討」など、発想の着眼点や、ブランドの「おもてなし」などのレクチャーがあり、皆、熱心にメモをとっている。 「記念日のベースのとなるサービスは決めますが、プラスαのおもてなしは個々に任せる予定です。中途入社のスタッフも加わったので、リゾートやブランドとして大切にしていることを共有し、サービスの目線を合わせながら、個々のおもてなしのスキルを磨いてもらえれば……」とスタッフの米田さんは語る。

他方、八ヶ岳、トマムに続き3店舗目となる「OTTO SETTE」。「OTTO SETTE NASU」は、フルコースを提供するイタリア料理のレストランだ。

木下猛夫料理長によると、料理のテーマにもなるイタリアトスカーナを中心とした中部イタリアは、素材を生かしたシンプルな料理が多く、こだわりの農家が作る那須の野菜とは相性が抜群だという。「珍しい品種も揃い、素材の選択の幅が広いのはありがたい。美味しさを最大限に引き出す独創的でオリジナルの調理を施した料理は、プレゼンテーションにもこだわりました(木下総料理長)」。自然の中に佇む隠れ家のような「OTTO SETTE NASU」は、大人の記念日を過ごすのにぴったりだ。

各テーブルでは、席への案内、料理を運び説明をするなどロールプレイング形式で研修が行われていた。少し張り詰めた空気は、スタッフの緊張感の表れだろう。サーブをする中には畑チームのスタッフもいる。ひとりが幾つもの業務を担当する「マルチタスク運営」の星野リゾートでは珍しくない光景だ。畑で自ら育てた野菜が美しく調理され、お客様が食するまでを見届けることで、やりがいに繋がり新しいアイデアも生まれるに違いない。畑で培った知識に裏付けられた「これぞアグリツーリズモリゾート」というレストランサービスも期待できそうだ。

そうはいっても、マルチタスクで働くというのは、覚えることも多く想像以上に大変だ。フロントでは、スーツケースや台車の傍らで、チェックイン業務を練習するスタッフの姿があった。前向きに真摯に取り組む姿に、星野リゾートの強さを感じた。

文:村田 和子